日本工業検査株式会社 情報システム部 佐々木仁美氏、部長 吉野陸宏氏 検査技術部 スーパーバイザー 梶原勝義氏、焼鈍技術部 加藤博起氏(左より)
巨大な石油プラント、発電所、そして完成時には634メートルにもなる東京スカイツリー。これら建造物・構造物を壊さずに検査・点検するための技術が非破壊検査である。今回は、非破壊検査で国内トップクラスの実績を誇る日本工業検査に、eラーニングシステム(以下eラーニング)「HIPLUS/eXPress」(以下*HIPLUS®)を導入した経緯とその効果を伺った。
-- 日本工業検査の事業について、教えてください。
吉野:発電所や石油プラント、橋やビルなどの大型建造物の測定、検査を行っております。特に、ものを壊さず検査する非破壊検査の分野に強みがあります。当社が行っている非破壊検査では、現在建設中の東京スカイツリーで、鉄骨の現場溶接部の検査をしています。また、震度4以上の地震が発生した場合、例えば横浜ベイブリッジを支えるワイヤーに異常が起きていないことを確認する検査などもしています。
事業の柱となっているのは、この「検査部門」と、大型建造物の計測・調査などを行う「計測部門」、強度が弱まった配管溶接部分などを熱処理し、強度をよみがえらせる「焼鈍(しょうどん)部門」の3つの部門です。
-- HIPLUS®導入前の課題はどのようなところにあったのでしょうか?
梶原:資格取得のために行う教育に、非常に手間がかかっていたという点です。当社は非破壊検査といった技術サービスを提供しておりますが、サービスの質や、社員の持つ技量というのはなかなか数値化しにくいものです。このため、第三者から評価していただく指標として、「非破壊検査の資格取得」に力を入れています。社内に「資格取らざるもの食うべからず」という標語のようなものを貼り出し、資格取得の啓もうに力を入れていることもあり、今現在、入社5年以下の社員全員が資格を取得済みです。
ただ、当社には全国22か所に事業所があり、お客さまの現場は北海道から鹿児島まで各地に広がっているため、教育を行うとなると、とにかく時間と手間がかかっていました。
教育は、対象者の都合をうまく調整し、どこか1か所に集めて行うだけではありません。教育担当者が出向いて事業所単位で教育を行ったり、出張の多い社員に対し個別対応する場合もあります。こうしたことも含めて考えると、とにかく早く、このような生産性の低い業務を改善し「楽をしたい」という思いがありました。
-- 社員の資格教育の効率化が、以前から課題だったというわけですね。 eラーニング導入に至った直接のきっかけは何かありましたか?
吉野:直接のきっかけは、取引先からの情報セキュリティ対策状況に関する調査が、年々厳しくなっていたことです。近年、企業の情報セキュリティへの取り組みに対する社会の目が厳しくなっているため、当社でもこの分野の教育に関しては、以前から積極的に取り組んできました。
ただ、従来どおりの集合教育形式で全社員に実施していたので、手間と時間がかかっていました。このため、全社員にスピーディかつ確実に情報セキュリティ教育を行うために、何かよい方法はないかと考えていました。そのとき、時間や場所を制限されることなく教育できるeラーニングの活用を思いつきました。
-- 数あるeラーニングの中から、HIPLUS®を選んだ理由を教えてください。
吉野:インターネットでeラーニングを検索して、比較検討しました。その中で、日立電子サービスのWebサイトは運用イメージがわかりやすく、HIPLUS®も使いやすそうだと感じました。また、導入実績が豊富で、日立ということでの安心感もあり、HIPLUS®を選びました。
-- eラーニング導入決定まで、スムーズに進みましたか?
吉野:eラーニングの導入について、上司の理解を得るには多少時間がかかりました。従来の集合教育と違い、個人がそれぞれのペースでPCに向かって学習するeラーニングで、本当に社員が情報セキュリティに正しく対処できるようになるのか、その学習効果面について懸念していたようでした。教育の効率が上がっても、学習効果が低下したのでは教育の意味がなくなってしまいますから。
-- eラーニングの学習効果に対する懸念は、どのように払拭されたのですか?
吉野:とにかく粘り強く、一般的な話ではなく、当社業務イメージに落としてeラーニングの必要性を説明しました。そのかいあってか、まずはHIPLUS®のデモを見て、それから判断してもらえることになりました。デモをする営業担当の山本さんには、ただHIPLUS®の機能説明をするのではなく、導入後当社にどのようなメリットがあるのかを、具体的に説明してもらいました。結果としてデモは成功し、資格教育担当の梶原からの後押しもあり、HIPLUS®の導入が決まりました。
-- HIPLUS®での教材作成はいかがでしたか?
吉野:教材を作ること自体は難しくありませんでした。主に紙ベースの教材から情報セキュリティ教育の教材は私が、そして、資格教育の教材は梶原が作成しました。図版などはスキャンした画像をeラーニングの教材に貼り込み、文章を入力し、合計で20ページ分を作成しました。
ただ、コンテンツ作りに慣れていないため、「もっと見やすくするには」と迷いながら修正を続けていたので、上司から催促されるくらい時間がかかっていました。
-- なるほど。では、実際にHIPLUS®で教育を実施してみていかがでしたか?
吉野:受講者からの反応は、想像以上に良かったです。HIPLUS®の機能を使って教材の末尾でアンケートを実施したのですが、業務の繁閑に合わせて実施できることや、使いやすさについて、前向きな意見が多かったので、ほっとしました。
また、通常の集合教育では、1か月後の受講完了者数は半数程度にとどまっていたのですが、HIPLUS®を活用した情報セキュリティ教育では、1か月でほぼ全員(海外出張者などは除く)が受講を完了しました。
-- HIPLUS®のどの機能が役立ちましたか?
吉野:一番役立った機能は、受講者の管理機能です。誰がどこまで進んだかが一目でわかり、成績やアンケート内容はCSVに出力できるので、分析にも役立ちます。一例ですが、情報セキュリティに関する簡単なアンケートを行いました。その結果や教育実績、業務内容などを踏まえ、必要な場合は、個別に再教育も実施できました。
-- 上司の反応は、いかがでしたか?
吉野:上司は、高く評価してくれています。HIPLUS®を利用したことで、情報セキュリティ教育が、従来の集合教育より格段に早く終えることができ、受講者からのアンケート内容も良かったためです。
-- 実際にHIPLUS®を受講されたご感想はいかがですか?
加藤:いつでも受講できる、というところが最大のメリットだと感じました。私たちの職場はシフト勤務もあり、担当によって勤務時間もバラバラです。社員全員が時間を割いて集合教育を行うのは大変です。HIPLUS®は、業務都合に合わせて受講できるので助かります。
-- 加藤さんは、今後ご自身の部署でHIPLUS®を活(い)かそうと考えられているとか。
加藤:はい。私たちの部署、焼鈍技術部では、社内認定を取得していないと担当できない作業があります。社内認定は実務経験と、ペーパーテストで行われるのですが、ペーパーテストの部分をHIPLUS®に置き換えられたら便利だと思いました。そんなことを周りに話していたところ、自然と担当者になっていました。
-- 佐々木さんは、HIPLUS®に関わるサポートデスクの役割を果たされているそうですが、どのような相談や質問が多いですか?
佐々木:HIPLUS®の画面の立ち上げ方だとか、「戻る」ボタンはどこだ、といったような基本的な質問がほとんどです。PCに慣れていない社員に対しての、こうした基本的なことをフォローする程度で、問題なく運用できています。
-- 佐々木さんご自身は、HIPLUS®を使ってみてどのような印象をお持ちですか?
佐々木:細切れ時間をつなぎ合わせて受講できるので、便利な印象を持っています。例えば、私は、昼食前の10分とか、ちょっとした業務の空き時間を利用して受講していました。
-- HIPLUS®や日立電子サービスへのご要望はございますか?
吉野:設定者向けのマニュアルを改善していただけたらなと思います。内容はとても充実していてよいのですが、その分厚く、どこに何が書いてあるのかがわかるようになるまでは、少し使いづらかったです。入門編と応用編に分かれていると、もう少し使いやすくなるのではないかと思います。
ちなみに当社では、一般の利用者向けに、IDやパスワードの通知を兼ねたA4版で2~3枚の説明書きを渡していますが、利用者向けにはこれだけで十分です。
-- 今後どのようにHIPLUS®を活用していかれるのか、目標や展望などはございますか?
吉野:今後の展開としては、資格取得後の管理にも広げていきたいです。例えば、放射線取扱主任者の資格は対象者が200人と多く、更新のためには毎年定期的に講習を受講する必要があります。そうした受講者の多い講習の受講管理などにも活用を広げていきたいと考えています。
梶原:非破壊検査における超音波技術などは、日進月歩でどんどん進んでいきます。新しい技術を社内に広めるためにも、HIPLUS®を使っていきたいですね。このほか、社内で受け継がれてきている技術を伝承することや、知識を共有する場としての活用など、やりたいことはいろいろあります。
導入前のデモでは、吉野様から運用面でどのようなメリットがあるのかを中心に説明するよう依頼を受けましたので、「管理者の手間が省けること」、「学習者は好きな時間に取り組めること」といった説明をさせていただきました。 その後、「今のままでは大変。これを使えば楽になるからぜひ入れてほしい」とおっしゃった梶原様の一言に、上司の方も「梶原さんが言うなら」とご納得され、一気に風向きが変わったのを覚えています。 今後も、お客さまのさらなる業務効率の向上、そして企業価値向上に少しでも寄与できるよう全力でサポートさせていただきます。
※ 日本工業検査のホームページ ※ 取材日:2011年2月
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